一般的な外来を行うクリニックとは違い、血液透析治療を行う透析クリニック。
興味はあるけどハードルが高いと感じている方は多いのではないでしょうか。
透析は機械の取り扱いが多く、穿刺の技術も必要なため、想像しただけで敬遠する方もいらっしゃいます。

私も専門性が高くて難しそうだし
患者さんが厄介って聞くし
私には無理…と思っていました
しかし、実は透析クリニックで勤務するとこんな魅力的な部分があります。
- 業務は慣れると楽
- 情報収集が少ない
- 残業がほぼない
- 患者さんが殺到することはない
- 高給与のところが多い
- 専門性が高くなる

私は透析クリニックに魅力を感じて転職を決めました!
透析クリニックに興味を持っている方・転職活動中の方向けに、私が透析クリニックに転職を決めた理由を解説していきます。
※個人的な意見、解釈があります。参考程度にお考え下さい。
業務が決まっているため慣れると楽

透析クリニックでは、ダイアライザーやプライミングなど、外来や病棟ではあまり聞きなれない器材や業務が多いです。
そのため、全く透析に触れてない看護師からすると、看護師から別の業種に転職してきたのではないかと感じるほどです。
しかし、透析クリニックは「透析を行うためのクリニック」であるため、毎日の業務内容は「透析を行うこと」と決まっています。
突然、「やったことのない処置・検査が入る」ということはほぼないため、業務を覚えてしまえばルーティンに沿って業務を行っていきます。
最初は覚えることが多く、機械の操作などに慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、慣れてしまえば楽と感じる方は多いようです。
長期の患者さんばかりなので情報収集が少ない

透析の患者さんは、月・水・金もしくは火・木・土と週に3回、血液透析を行わなければなりません。
そのため透析クリニックにいらっしゃる患者さんは1日おきに同じ患者さんがいらっしゃるということです。
そのため、一度情報収集をしてしまえば、その後の経過の情報収集となるため、始業時間よりかなり早く来て情報収集をたくさん取るということはありません。
当然ながら、長期的に透析に通われている方もいれば、新しく始められた患者さんもいらっしゃいます。
新しい患者さんが来院することになった場合は情報収集の量が多く必要になってきますが、それも頻回に通院を重ねていくため、次第に患者さんの把握が出来ていきます。

知っている患者さんが多く
情報収集に追われないと思うだけで
精神的な負担は軽減しますね
残業がほぼない

透析クリニックは残業がほぼありません。
透析クリニックの大きなメリットの一つですね。
患者さんは決まった方が来院されるため、情報収集の量も少なく、前残業もほとんどありません。
透析自体も4時間で終わるため、透析が終わったあとは記録や次のクールの準備や物品補充などの業務に移るため、終業時間に患者さんがまだいて帰れないということはありません。
2クール、3クール行われるところでも看護師は勤務交代となるため、残業なく帰ることができます。
仕事がいつ終わるかわからない状態だと、プライベートに影響してきます。残業がなく帰れる透析クリニックでは、容易にプライベートの計画を立てることができます。

子どものお迎えがある方も
子どもを待たせることなく迎えにいけますね
患者さんが殺到することはない

外来の業務では、連休前後や感染症の流行中は患者さんが殺到することがあります。
患者さんが次々に受付をし、診察を終えても次の患者さんが来院し、診療終了時間がすぎてもまだ終わらないことも度々あります。
透析クリニックでは、外来業務ではないため連休前後・感染症の流行などは関係なく同じ程度の業務量になります。
ただ、透析を受ける患者さんがインフルエンザなどの感染症にかかることもあります。
透析可能な場合は施設などによって、別部屋などで行う(空間的隔離)、他の患者さんと時間をずらして透析を行う(時間的隔離)場合があります。
普段とは違う対応を求められるため、忙しさや大変さを感じることもあるでしょう。
高給与のところが多い

透析は血液を取り扱うため、危険手当・透析手当などの手当が支払われることもあります。
また、透析クリニックでは日勤帯だけでなく、夕方から透析を始める場合もあるため準夜勤の勤務がある施設もあります。その場合は準夜勤手当が支払われるので給料がさらにアップします。
また、お正月・お盆も休みなく透析を行うため、正月手当や土曜祝日手当を支払っているクリニックもあるため、透析クリニックは高給与のところが多いです。
そのため、一般的なクリニックの外来看護師と比べると少し給与が高くなっています。
しかし、病棟で夜勤をやっていた看護師の給与よりは少し低めになるため、給与を優先するか・時間的余裕を優先するかを、しっかり検討する必要がありそうです。
専門性が高くなる

透析クリニックでは透析を主として取り扱うため、専門性が高まります。
看護師の中には、自分の技術や知識に自信を持てない方がいらっしゃいます。
専門性が高まることで、「透析の分野はわかる!」と自信を持てるようになるでしょう。
透析は毎日同じことの繰り返しと思われがちです。しかしその奥は深く、知識を深めて学んでいくことで、自信をもって「透析の看護師をしています」と言えるようになるでしょう。
また、「透析看護認定看護師」にスキルアップすることも可能なため、知識や技術の幅を広げることができます。
デメリットもある

魅力的な部分を紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。
- 正月・お盆休みがない
- 苦手な人でも長い付き合いをしなくてはならない
詳しく説明していきます。
正月・お盆休みがない
透析は、正月だろうがお盆休みだろうが、やらなくていいことはありません。そのため、お正月や夏休みも出勤となります。
透析看護師の中には、「正月の親戚づきあいが疲れるから、仕事があると、参加できない言い訳になっていい」と言っている人もいます。
「正月やお盆はしっかりお休み取りたい」と考えている人には不向きと言えます。
もちろん、正月休みや夏休みは交代でとることになるので、極端に年間休日が少ないわけでもありません。
勤め先によっては、正月手当等が多く支給されることもあるため、「稼ぎ時」として、勤務を希望する看護師もいます。
苦手な人でも長い付き合いをしなくてはならない
人工透析は、腎臓移植を行わない限り、開始するとその生涯が閉じるまで続けなくてはなりません。
年々、人工透析患者さんの平均余命も改善傾向にあり、透析患者さんは数年、数十年透析を行うことになります。
そのため、苦手な患者さんがいる場合でも、長期間一日おきに顔を合わせることになります。
外来の勤務でも、長期間通院する患者さんは多いですが、短い時間の関わりのため苦手と感じる患者さんでも対応できることはあるでしょう。
しかし、透析では一日おきに来院し、4時間滞在します。患者さんにとっては日常の一つです。
患者さんの日常である透析は、その人その人のこだわりがある場合があります。止血バンドの巻き方一つでも「違う!」と感情的に怒ってくる患者さんもいらっしゃいます。
誰しも自分の日常を変えられると気分はよくありませんよね。そのため透析の患者さんは扱いが難しいと感じている看護師も多く、透析室勤務を敬遠する一つの理由となっています。
しかし、透析室はオープンフロアになっているため、常に他のスタッフの目があります。トラブルになりそうな場合でも、他のスタッフも介入することでその場が落ち着くこともあります。
看護師も人間であるため、苦手な相手や対応が難しいと感じる人はいるでしょう。スタッフ間で情報を共有し、協力しながら患者さんに対応していくことで、乗り越えられることもあります。
スタッフ同士で互いに協力していくことが大切になっていきます。
まとめ
透析クリニックの魅力について解説してきました。
専門性を高めたい場合やプライベートを充実させたい場合など、メリットも多く感じる透析勤務です。
デメリットも理解したうえで検討することで、就職してから「こんなはずじゃなかった」ということを減らすことができます。
透析看護師への転職を考えている方の参考になれば幸いです。